消費税 – 電子商取引と消費税について

はじめに

電子商取引と消費税について概要をまとめる。

過去の研究報告

租税調査会研究報告第8号(中間報告)(平成14年10月7日)

ここで議論されていた内容の概要は以下の通り。

電子商取引と恒久的施設

恒久的施設を有するかの判定よって事業所得に課税できるかどうかが決まる(伝統的な論点)。電子商取引に対応するために、この見方を保持した上で、恒久的施設の範囲を広げる方向で考えられた。

電子商取引に係る所得分類

電子書籍の販売は事業所得?使用料?事業所得であれば、恒久的施設の判定がなければ課税なし。使用料であれば、伝統的には源泉徴収。

外国事業者との電子商取引における当該時点の消費税法の問題点

電子書籍の販売は、利用権の貸し付けで消費税の対象とならない?という議論があったが、今は役務提供の一類型という結論が出ている。

租税調査会研究報告第24号「我が国の消費税の現状と今後の方向性について(中間報告)」

仕向け地課税とは

一般的な法人税制のように事業拠点のある原産国で課税するのではなく、製品やサービスを消費する国で課税する仕組み。消費税のような付加価値税は「仕向け地主義」を採り、貿易での二重課税を防ぐため輸出品の課税を免除する一方で輸入品に課税する「国境調整」を施している。米国では一部の企業が法人税率の低いアイルランドなどに本社を移そうとする「課税逃れ」が問題になった。法人税制を「仕向け地主義」にすれば企業の海外移転の利点が薄まり、米国の税収が増えるとの見方がある。(日本経済新聞)

対の用語は「オリジン課税」。

クロスボーダの電子商取引は「仕向け地課税」とする方向で進んでいるが、全世界で同時に「オリジン課税」から「仕向け地課税」に移行しないと、2重課税・2二重不課税問題が生じてしまう。

他の役務提供も世界的に「仕向け地課税」とする流れ(日本はまだ「オリジン課税」となっている)。

平成27年度税制改正のポイント

上記問題に対しての一定の手当を行った。

課税対象役務取引に関する内外判定ルールの変更

電気通信利用役務に限定して、「仕向け地課税」を原則することにした。

注意点

電気通信利用役務については、お客さんが非居住者であれば「輸出免税」でなく「対象外売上」となる。

徴収権の担保のための方策

外国事業者に課税したとしても、消費税を徴収できるかどうか実務的に問題が残るため、B2B取引については原則リバースチャージ方式が採用された。他方、B2C取引については、国外事業者が登録の上、申告義務を負うこととなった。なお、未登録国外事業者からの電気通信利用役務取引については、当面の間、仕入税額控除が制限されることとなった。

消費税の課税対象

下記 2. が追加された。

  • 国内において事業者が行った資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。) 及び
  • 特定仕入れ(事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等をいう。)並びに
  • 保税地域から引き取られる外国貨物の引き取り

B2B取引とは

役務の性質や役務の契約条件などから通常事業者のみが利用すると考えられるもの。

注意点

B2B取引該当が明らかであれば、「リバースチャージの通知」がなくとも、国内事業者側のリバースチャージ納税義務は免除されるわけでわない。しかし、一般的には通知がなければB2B取引該当が明らかではないものとして、B2C取引として処理するだろう。

国外事業者とは

非居住者である個人事業者及び外国法人。日本に恒久的施設を保有しない外国事業者であっても、消費税の納税義務者となり、法人税の納税義務者でなくても消費税の納税義務者になる可能性がある。

電気通信利用役務の範囲

  • インターネットを介した電子書籍の配信(アマゾン)
  • インターネットを介して音楽・映像を視聴させる役務の提供(ネットフリックス)
  • インターネットを介してソフトウェアを利用させる役務の提供(クラウドサービス)
  • インターネットのウェブサイト上に他の事業者等の商品販売の場所を提供する役務の提供(アマゾン)
  • インターネットのウェブサイト上に広告を掲載する役務の提供(グーグル)
  • 電話、電子メールによる継続的なコンサルティング(レアジョブとか?)

なお、具体例は「国境を超えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等に関するQ&A」で列挙されている(平成28年12月に改定あり)。

所感

ずっと、Facebook広告プラットフォームって事業者でなくても告知目的とかで利用できるのに「事業者向けサービス」ってなっているのが腑に落ちなかったけど、「広告プラットフォーム=事業者向け」って例示されることがその理由みたい。ただ一般的には、「消費者向けサービス」の定義が「事業者向け以外」なので、例示されていないようなサービスについては、やっぱり「消費者向け」と判定されるケースが多いのはないだろうか。

Source

  • 税務調査会研究報告第31号 国境を超える電子商取引と消費税について

兵庫県西宮市生まれのフリーランスRailsエンジニア。海外を拠点にデジタルノマド生活中。/ 前職・資格:公認会計士 / プログラミング言語:Ruby, JavaScript, HTML, CSS / 日本語・英語
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