所得税 「個人事業」と「法人成り」どちらがお得?

はじめに

個人事業を法人成りさせるかどうか判断する上で抑えておくべきポイントを整理する。

想定ケース

  • 個人事業主として事業を営んできたが、利益が増え、税金が多くなってきたので法人成りを検討し始めた。
  • 事業規模はスモールビジネスまたはフリーランス。

前提

法人の利益はゼロ

法人成りをシュミレーションする上で、「想定利益金額 = 役員報酬」とし、法人の利益は常にゼロとして考える。これは、個人事業主に利益を残した方が税額が低くなるため(想定ケースの場合)。

法人と個人事業主の税率の違いは以下の通り。

法人の税率

法人税・法人住民税・法人事業税の合計税率は最低でも30%程度。

個人事業主の税率

課税所得が900万円の場合、所得税・住民税・事業税の合計税率は30%程度。累進課税のため、課税所得がそれ以下であれば税率も30%以下となっていく。また、この課税所得には、所得控除(所得税・住民税)や事業主控除(事業税)が考慮されているため、法人成りした場合の法人所得段階より金額自体が低くなる。

資本金は1000万円以下

消費税の免税や事業税の軽減税率を考えて、新設法人の資本金は1000万円以下とする。

抑えておくべきポイント

法人成りのメリット

給与所得控除

個人事業主の場合、青色申告特別控除として最大65万円所得控除できる。

一方、法人成りして役員報酬を受け取った場合、青色申告特別控除がない代わりに給与所得控除を受けることができる。これは、下表の通り、最低65万円、最大220万円所得控除できるので、常に青色申告特別控除よりお得だといえる。

法人成りのデメリット

複雑な手続き

法人の確定申告は個人事業主よりも複雑であり、また。自分に役員報酬を支払う場合は、それに伴う源泉徴収や社会保険などの給与計算も必要となる。そのため、法人成りを機に税理士を雇うことになったり、すでに雇っていた場合も顧問料を上げられたりして、最低でも数十万円の追加コストが発生する。

住民税均等割

毎年住民税均等割を7万円程度払う必要がある。所得金額に関わらず払う必要がある税金なので、法人の利益はゼロとしても発生する。

社会保険料の増加

法人成りして役員報酬を受け取る場合、その28.21%を社会保険料(健康保険+厚生年金保険)として支払う必要がある。個人事業主の課税所得が500万円の場合、その社会保険料(国民健康保険+国民年金保険)は約14%で済むので、法人成りによって倍近く社会保険料が増加してしまう。具体的な社会保険料は以下の通り。

<個人事業主の場合:40歳未満>

  • 国民健康保険(所得割:9.54%, 均等割:年51000円/加入者)
  • 国民年金保険(16340円/月)

<法人成りの場合>

  • 健康保険(9.91%:会社と折半, 全額上限:137749円)
  • 厚生年金保険(18.3%:会社と折半)

その他メリット

消費税免税

新設法人は個人事業主とは全く別の法人格なので、設立から2年間免税事業者となることができる。

繰越欠損金

個人事業主の場合3年、法人の場合10年繰越可能(※)。利益出てない内は法人成りとか考えないと思うのでおまけのメリット。
(※)平成30年4月1日以後に開始する各事業年度において生じた欠損金額

その他デメリット

初期コスト

法人の設立費用(登記費用や専門家への報酬など)が30万円程度かかる。上記2年間の免税事業者による恩恵で回収できそう。

交際費

法人の場合は、交際費の損金算入額に制限がある。といっても、800万円まで認められるので、スモールビジネスやフリーランスを前提とすれば制限に引っかかることはなさそう。

所感

「給与所得控除の恩恵」と「社会保険料の増加」を比較考慮してもメリットがあり、さらに「専門家への報酬」や「住民税均等割」もカバーすることができるのであれば法人成りした方がお得ということになる。

Sources

兵庫県西宮市生まれのフリーランスRailsエンジニア。案件によってWordPressの作業も請け負ったりしてます。2014年から2016年にかけてオーストラリアで生活。 現在は東京を拠点に活動。/ 前職・資格:公認会計士 / プログラミング言語:Ruby, JavaScript, HTML, CSS / 日本語・英語
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