剰余金優先配当株式(種類株)で増資するための手順

はじめに

剰余金優先配当株式(種類株)で増資するために必要な手順を整理する。

前提

  • 今までに種類株式を発行したことがなく、種類株式に関する定款の記載事項もない
  • 増資は第三者割当増資(総数引受契約)により行う
  • 非公開・取締役会非設置会社

必要な手順

  • 投資契約事項のすり合わせ
  • 種類株式を発行できるようにする
  • 投資契約の締結
  • 実際に種類株式を発行する

投資契約事項のすり合わせ

種類株式の内容や投資契約へ記載する事項などを出資者とすり合わせる。

種類株式を発行できるようにする

種類株式を発行する場合、その事項を定款で定めておく必要があるので、定款を変更しなくてはならない。

株式会社は…(中略)…内容の異なる二以上の種類の株式を発行する場合には、各号(各種類株式ごと)に定める事項及び発行可能種類株式総数を定款で定めなければならない。(会社法第108条)

定款の変更手続き

定款変更は株式総会特別決議により行う必要がある。

手続きの詳細は『株式会社の定款変更に必要な手順』を参照。

定款への記載内容は『種類株式の例』を参照。

なお、「発行する株式の内容」は登記事項であるため、この定款変更に伴い登記変更申請を行わなくてはならない。これにより、登録免許税3万円の納付が必要となる。

ポイント

種類株式を発行した場合には、原則、通常の株主総会とは別に種類株主総会(種類株主だけが出席する株主総会)を開催しなくてはいけない。ただし、あらかじめ以下のような文言を定款で規定しておけば、あらゆる決議を通常の株主総会で済ますことができる。

(種類株主総会の決議を要しない事項) 第○条 当会社が、会社法第322条第1項に規定する行為をする場合においては、A種類株式の株主に損害を及ぼすおそれがあるときであっても、当該種類株主総会の決議を要しない。

投資契約の締結

株式の発行手続きを進める前に出資者と投資契約を締結しておく。

実際に種類株式を発行する

詳細な手続きは『新株発行の手続について』を参照。

募集事項の決定

株主総会で、募集株式の数、募集株式の払込金額又はその算定方法、払込期日又は払込期間等の募集事項を決定(会社法 199条1項・2項)。
株主総会において募集株式の数の上限及び払込金額の下限を定めた上で、具体的な発行決議は取締役会に委任することも可能(会社法 200条1項)。

総数引受契約の締結

会社と募集株式を引き受けようとする者がその総数の引受けを行う契約を締結(会社法205条1項)。

総数引受契約の承認

募集株式が譲渡制限株式である場合、株主総会(取締役会設置会社の場合は取締役会)で総数引受契約の承認が必要(会社法 205条2項)。

出資の履行

払込期間内に出資の履行を完了させる。

登記申請

「発行株式数の変更(増加、減少)」は登記事項であるため、払込期日(または払込期間の末日)から2週間以内に登記変更申請を行わなくてはならない。これにより、登録免許税の納付がもう3万円必要となる。

所感

定款変更を1回で済ませることができれば、登録免許税の納付は3万円で済むが、種類株式を発行できるようにしてから実際に発行する必要があるため、どうしても2回定款変更しなくてはならない。

手続きは順序通りしっかりと進めよう。

Sources

兵庫県西宮市生まれのフリーランスRailsエンジニア。海外を拠点にデジタルノマド生活中。/ 前職・資格:公認会計士 / プログラミング言語:Ruby, JavaScript, HTML, CSS / 日本語・英語
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